食品ロス削減と食品リサイクルを推進する
第1回もったいないプロジェクトを
開催しました!
生活協同組合コープあいちと循環資源再生利用ネットワーク(略称:しげんさいせいネット)が事務局となって準備を進めてきた「もったいないプロジェクト」を開催しました。
愛知工業大学経営学部教授の小林富雄様をプロジェクトリーダーに、実出席およびWEB参加の委員13名、事務局4名の参加で、2020年6月24日(水)13時~15時、名古屋クラウンホテルにて第1回のプロジェクトを開催しました。
*小林富雄様
1973年富山県生まれ。専門分野 マーケティング論・流通論。内閣府食品ロス削減推進会議委員(2019年~)、環 境省中央環境審議会循環型社会部会食品リサイクル専門委員会委員(2018年~)、名古屋市環境審議会委員(2018年~)、愛知県食の安全・安心推進協議会副会長(2015年~)、ドギーバッグ普及委員会理事長(2015年~)、一般社団法人サスティナブルフードチェーン協議会(DB普及委員会)
参加者
もったいないプロジェクト開催にあたり、事務局より「目的」「活動テーマ」について報告があり、その後参加委員より自己紹介と一言ずつこのプロジェクトへの意気込みをご発言いただきました。
事務局開会挨拶 しげんさいせいネット専務理事:長谷川剛
しげんさいせいネットワークの定期総会で提案しました「もったいないプロジェクト」についてこの間準備を進めてきました。今回のプロジェクト会議を通して具体化を進めていきましょう。
事務局報告 しげんさいせいネット:小西稔
プロジェクトの目的は、食品ロスの削減と食品リサイクル推進の取り組みを進めることです。事業者、自治体、市民連携で「もったいないプロジェクト」に取り組み、SDGs目標の達成につなげます。アフターコロナ、Withコロナとも言われている中、今までの暮し経済からの転換に迫られ「グリーンリカバリー」の取り組みが進められようとしています。まず良いモノづくりを進め「おいしいもの」「価値あるもの」「納得できるもの」などを通して結果的に無駄なく食べきる、使い切ることにつながります。主体的に、関心を持たれる課題や得意分野など、できることからの実践と2021年事業化に向けて検討を進めていきましょう。
愛知工業大学教授:小林富雄様
SDGsからコロナの流れの中で、SDGsの取り組みがコロナに非常にフィットする、解決につながると感じています。そういうことも含めてディスカッションしましょう。
中部SDGs推進センター:百瀬則子様
どうやって食料を無駄なく使いきるか、そのためには小売業も外食もそこだけが努力するだけではだめで、お客様とどれだけ連携できるかが大切です。最近EUが農業から食卓までという宣言を出しました。農業で作られたものをちゃんと食べる、健康的な食生活が大事と言っています。このプロジェクトでも一緒に進めましょう。
コープあいち理事長:森政広様
コープあいちは消費者と供給者の立場の2つの側面をもっています。SDGsを進めることがコロナ対策にもなり、事業と運動と一体となって進めて行きたいと思います。
しげんさいせいネット顧問・前コープあいち理事長:夏目有人様
ウィズコロナという新しい生活様式となります。このプロジェクトは多才で幅広い皆さんが参加されています。生産から流通まで社会的に求められる新しいネットワークが必要とされています。
中日新聞論説委員:飯尾歩様
コロナで言われたのは「もったいない」という忘れていた日常に気付きなさい、取り戻しなさいということと思います。これまで衣食住を中心として総合的に生活協同組合が訴えてきたこと同じだと思います。どちらかというと懐古運動のような感じで参加させていただきます。
株式会社ウェイストボックス代表取締役:鈴木修一郎様
会社としてはCO2の見える化で社会を変えるCO2排出量調査を仕事として進めています。今回のプロジェクトにも地域のメンバーとして貢献したいと思っています。
ゴールドパック株式会社東海支店長:柴田晃嘉様
会社として、SDGsの取り組みを始めています。工場で出る食品残渣については既に二次加工して各業界に供給、採取製品に再利用なども検討しています。紙パックジュースのストローを植物由来のものに切替えるなどの取り組みも進めています。
しげんさいせいネット顧問:野々康明様
食べられるものを捨てていることは、ある意味非常識なことです。それをまともにすること、誰も反対しないこと。こうしたことにみんなが気付けば大きな成果が得られると思います。
株式会社昭和常務取締役:村田泰裕様
特段かわったことではない当たり前のことをみんながやることは大変難しいことです。みんな分かっていることだが、実際に行動に移すことが難しいですね。そこをきっかけづくりがこのプロジェクトと思います。
ヤマモリ株式会社相談役:松下洋三様
事業においても歩留まりを1%改善するだけで大きく貢献できます。少しでもそういう意識を持って取り組みに参加したいと思います。
トーアス株式会社代表取締役:岡本英次様
この間の努力で食品の廃棄は極力なくしてきました。食べきる、使い切ることが大切です。当たり前のことだが、できていないことを従業員に徹底できていないので、まず自分の会社でそういうことを進めていきたい、まず自社で考えていきたいと思います。
マルサンアイ株式会社常務取締役:堺信好様
6月会社のSDGs目標をプレスリリースしました。その中で商品ロスを大きく取り上げています。持続的継続的に今やっていることとしてフードバンク、こども食堂への提供。このプロジェクトに積極的に参加します。
イチビキ株式会社代表取締役:中村光一郎様
個人としても家族としても会社としても考えないといけないテーマです。町内、市内としてできること、会社としてできること、この先学びながらこの地域で積極的に参画していきたいと思います。
事務局 コープあいち:久保田孝
事務局として参加させていただきます。地域の方にどれだけわかりやすく食ロスのことを伝えられるかが大切。
事務局 しげんさいせいネット:堤英祐
このプロジェクトはいい機会です。食に対する関心がコロナ禍の中で高まってきました。忘れていた日常の大切さに気付く人が多くなっています。生きるうえで根本的な営み、大事なことをこのプロジェクトで大切にしたいと思います。
小林様、百瀬様報告の後、第1回プロジェクト閉会にあたって、コープあいち森理事長よりご挨拶をいただき、第2回プロジェクトの開催予定8月27日(木)として終了しました。
ご報告要旨
講演Ⅰ : SDGs時代の食品ロス削減運動
愛知工業大学経営学部:サスティナブルフードチェーン協議会DB普及委員会
もったいないプロジェクトリーダー 小林富雄 様
ビジネスの常識が変わってきた、デジタルネイティブと言われるような若い世代にとってSDGsは斬新で新しいものと捉えている。SDGsのインパクトは無視できない。
SDGs12.3に食品ロスがある(2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる)。個人的にはSDGsでは11と8に注目している。8はディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)。働き甲斐として社員のモチベーションを高めている。11はレジリエントで持続可能な都市。レジリエンスは「強靭な」と訳されるが、しなやかさや災害の時などどう受け止めて、どうやり過ごすかといった様に捉えている。
コロナ禍において食料需要自身は変わっていない中、如何にチャネルを変えていくのか。そうした対応がレジリエンスなのかなと考えている。食品ロス削減推進法が2019年10月1日施行された。法令の前文でSDGsに言及している。また「食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針」(2019年7月公表)において、2000 年度比で 2030 年度までに食品ロス量を半減させるという目標を設定している。
食品ロスとはなにか? 基本的には需給調整の問題、在庫リスク、価格リスク、鮮度リスク・食中毒リスク・品質美味しさは別のファクターだ。大量陳列を下支えする返品制度、1/3ルール。安いものは捨てられる。原価率を下げれば下げるほど捨て易くなる。見かけでは無く本質的に美味しいもの。欠品を受け入れたい。美味しいものをちゃんと供給できるような社会であり続けて欲しい。ロスを出す会社が勝つようなマーケットをデザインしてはいけない。フードサプライチェーンの進化、欠品防止・大量陳列からの転換。フードビジネスの質的変化、恵方巻、義理チョコ等。エシカル消費。
日本の食品廃棄物・食品ロスの発生状況、平成29年度の食品ロス量は612万トン、家庭系の食べ残しは120万トン程度。外食産業127万トンのうち食べ残しは80万トン程度。アンケートで食べ残しの持ち帰りについて聞いた持ち帰りに賛成が6割以上あるが、自分の店で実施していないも6割以上ある。言行不一致というか要するに良い事とわかっているがでもできないよねという面従腹背といったムードが日本にはある。SDGs当たり前のことと思っているのは思っているが色んな言い訳をつけて、具体的なアクションをどうするのかをちゃんとしないと、今までの打ち上げ花火と変わらなくなってしまう。
学校給食の持ち帰りが禁止された、96年のO157集団食中毒以来。給食パンにハエ、ディスカッションが足らない。こども食堂が出てきたこと給食で足らないものを補完する意味合いもあるのかと感じる。
もったいないの時代は終わった、少なくとも若い子には届かなくなっている。
個人消費が増えると廃棄が減る、食べ物が過剰になっていくと幸せ感は減る。フランスでは2016年に食品廃棄禁止法ができた。きっかけとなったのは埋め立て処理を止めましょうということ。ドギーバッグ法もできた。頑張って持ち帰るというよりも食を楽しむ。EGALIM(農業・食品流通平等)法、農家さんもフードビジネスも平等に取引しましょうという大きな法体系。環境問題だけじゃなくて農業、食のあり方、そういう意味ではこのプロジェクトに凄く期待している、色んなサプライチェーンの皆さんが参加していて農業の現場から非常に包括的なものとなっている。諸外国の取組みの紹介、フードバンクオーストラリア、フードバンクがPBをつくっている、日本納品期限の1/2化、食べ残し持ち帰り自己責任アプリ、フードシェアリング、シェアリングの行動原理-シェアが他人に見られる場合、“振る舞い”として幸せを実感-寄付行動を誘発。イメージモチベーション。フードバンクでは物流が問題、物流の寄付は人に見られないからでは。イメージモチベーションの例、フランスの「コレクトナショナル」フードバンクに寄付しましょうとのイベント、お店でフードバンクから寄付して欲しいもののリストを買い物客に渡し購入後寄付する。「心のレストラン」フランスの俳優、コリューシュが始めた事業、フランス国内に10の支所、119部門の団体があるフードバンクと直結、年間1億3200万食を提供。日本はフードバンクへの寄付量はまだまだ少ない、無償で食品をシェアするということなら贈与米を入れれば米国並みのレベルになる。ただ、これは身内に優しく、他人に冷たいという事、これを地域でどう考えていくのか、これから考えていきたい、出口を見据えられるのであれば食品ロス対策大きなポイントになってくる。
一方的贈与は難しいかも知れない、贈与交換の可能性、日本なりのやり方を模索していきたい。減らさなくてはならないから“減らした方が幸せ”、みたいなものを仕掛けていった方がこれからの若い人たちにはフィットする。SDGsがその辺の建付けになっているので、スウェーデンの人のデザインですけどあとはそれを強制しない様なナッジ(nudge)、ナッジングみたいなデザインが大事。見せ方、それをやった方が幸せといった。緩やかな社会的連帯感。例えばスマホのようなディバイスを使ったりは有効だと思う。
講演Ⅱ : 私たちは命をいただいて生きている
‐食品ロスを出さない 持続可能な消費‐
(一社)中部SDGs推進センター
百瀬則子 様
SDGsの中に、食品ロスや食品リサイクルに関わるものがかなりある。地球がどれだけ繁栄して人々が幸せになったとしても、地球の環境が壊れてしまっては人間は生きていけない。地球上の命は絶えてしまう。だから環境に関わるものそれプラス食品に関わるものとしては2番の飢餓を無くすとか、3番の健康、4番の教育、食育を考えていくこと、食べ物を捨てない食べ物を大切にすることでSDGsとしては叶うではないか。
スーパーマーケットは大変なジレンマがある。閉店5分前にいらしたお客さんが欲しいものがなかったら怒る。最低陳列量を設定する。スーパーの事業活動施設自身が環境に影響を与えているので環境負荷を減らそうと努力してきた。ユニーでは全ての店に計りを置いて売場毎に分別し計量した。2005年に名古屋市のゴミ収集の処理料が倍(10円から20円/kg)になった事で、計って出た分だけ払おうという事になった。リサイクルのために分別しよう。ユニーは堆肥化、富山でのバイオマスガス発電、飼料化など果敢にリサイクルに取り組んだ。2017年G7 SDGs協調行動環ワークショップ「食品リサイクルは命をつなぐ環inベルリン」で日本から発言した。日本の食品仕向量8,088万トンのうち2,759万トンが捨てられている。食品由来の廃棄物量は34.1%にもなる。この数字はカロリーベースの食料自給率の37%、食品ロス643万トンはお米の生産量にに似ている。スーパーから排出される未利用食品、問題は製品廃棄。非可食残渣はどうなっているのか。日本で最初に認定された食品リサイクルループ、ユニーのお店から出る食品残さを堆肥化、JAで農産物の栽培、お店で販売する、サーキュラーエコノミー、08年環境大臣賞を受賞。地域循環の仕組み。新鮮で誰が作ったかわかっている、農薬化学肥料を減らした特栽農産物としてお客さんは買っていく。
SDGs目標設定アプローチは自分の所だけの課題を解決するのではなく、世界的な視点から何が必要か、世界的、社会的ニーズから事業目標を設定するアウトサイド・イン・アプローチ。子ども食堂でもフードバンクでも余ったからあげる余ったから食べてというのはちょっと宜しくないんじゃないかなと、食を通して自分たちが生きるということを考えることが大事。
私たちは食品が残ったから堆肥にしてそれで作った野菜を売ることが素晴らしいのでは無く、そのことを消費者に知って貰ってだから私たちは食料を大切にしているんですよと言うことを訴えたいし、だから残さないで食べようね。
食品ロス、一番多く出しているのは一般家庭。スーパーは長い期間売れないものは仕入れないことで、ロスは少なかった。弁当、総菜は当日売りで即日廃棄。家庭から排出される生ごみを減らすためには、食材は「使いキリ」、料理は「食べキリ」、生ごみは「水キリ」の3RクッキングでSDGs。
ワタミの取組み、ワタミはSDGs日本一を実現し地球上で一番たくさんの“ありがとう”を集めます。人×地域×地球=ワタミモデル、安全安心な食材を提供ワタミファーム直営農場624ha。ワタミの宅食は24万世帯にお届けしている、高齢者への見守りの役割も負っている。居酒屋はもう一つの家庭の食卓としてワタミファームの安全安心の食材、有機食材を使ったメニューもある。酪農で有機の認定を取っているのはワタミだけ、チーズなどもある。
おいしい食べっきりで食品ロス削減。
食べ残しを削減するために、お客様への啓発活動を実施。食べきれない食品を「フードバック(おみやパック」」で、お持ち帰り。宴会料理の食べきりキャンペーン。3010運動、食べ残しゼロのお客様に割引券プレゼントなど。外食では「おいしい食べきり」。
全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会、47都道府県が会員の組織。ホームページでは参加自治体の取組み概要が紹介されている。
http://info.pref.fukui.lg.jp/junkan/tabekiri/network/
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